CDNとは?メリット・デメリット、効果的に使う方法を解説
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私たちが日常的に利用している多くのWebサイトやサービスにはCDNが使われています。しかし、その実態について意識する機会はほとんどありません。
本記事では、CDNとは何か、その基礎的な理解から、メリット、デメリット、そしてもっとも効果的に使用する方法についてくわしく説明します。
CDNとは?

CDNは、Content Delivery Networkの略で、複数拠点に分散配置されたサーバーネットワークを利用して、よりユーザーに近い場所からコンテンツを迅速に配信するシステムです。インターネット上でのコンテンツ配信の高速化により、Webサイトのパフォーマンスを向上させることを主な目的として活用します。
CDNによりWebサイトの表示にかかる時間を短縮し、大容量のトラフィックがあるアクセス環境でも安定したサービス提供が可能です。そのため、非常に重要な技術とされています。
CDNの構成

CDNの主な構成要素は「オリジンサーバー」と「キャッシュサーバー」です。オリジンサーバーは、コンテンツのオリジナルを生成する場所であり、Webサイトの基本的なデータが格納されています。
一方、キャッシュサーバーはこれらのコンテンツのコピーを保持(キャッシュ)しており、ユーザーからアクセス要求があると、オリジンサーバーに代わってコンテンツを返します。一度アクセスがあったコンテンツの場合、2回目以降はオリジンサーバーではなくキャッシュサーバーから配信されるため、迅速にコンテンツを提供できます。

これにより、データの転送時間が短縮され、ユーザーエクスペリエンスが向上します。
CDNに関連した用語
CDNに関連する用語として、以下が挙げられます。
- オリジンサーバー
- データセンター
- キャッシュサーバー
- DNS(Domain Name System)
- GLSB(Global Server Load Balancing)
オリジンサーバー
コンテンツの元となるサーバー。CDNの基点となり、すべてのコンテンツがここから配信されます。
データセンター
サーバーや関連機器を安全かつ効率的に運用するための施設。CDNのキャッシュサーバーは、複数拠点のデータセンターに設置されています。
キャッシュサーバー
オリジンサーバーから配信されるデータを一時的に保存し、ユーザーへの応答速度を向上させる役割を担います。
DNS(Domain Name System)
ドメイン名とIPアドレスを紐づけてIPネットワーク上で管理するシステム。ユーザーからのリクエストは、各ユーザーが利用しているDNSサーバーによってCDNへ誘導されます。
GSLB(Global Server Load Balancing)
DNSを利用して複数の拠点を跨いだサーバーへのアクセスを誘導する技術。サーバーの負荷に基づいてアクセスを分散することにより、負荷を軽減したり、CDNの効率やパフォーマンスを最大化したりします。
CDNはWebサイトやサービスのパフォーマンスを高めるための重要な要素です。その構成や関連用語を理解することで、より効果的なWebサイトやサービスの運営に役立ちます。
CDNのメリット・デメリット

CDNの導入は、Webサイトのパフォーマンスや運用コストに大きく影響しますので、その利点と潜在的なリスクを理解することが重要です。
CDNのメリット
多くのメリットがありますが、主要なものを以下に紹介します。
サーバーやネットワークの負荷を軽減できる
CDNを利用すると、サーバーやネットワークの負荷を大幅に軽減できます。これは、キャッシュサーバーがオリジンサーバーの肩代わりをしてコンテンツを配信することにより、オリジンサーバーへのアクセスが低減されるためです。
結果として、サーバーの過負荷やダウンタイムの発生を防ぎ、より安定したサービスを提供することが可能になります。これはとくにトラフィックが多いWebサイトにとって重要な利点です。
運用コストを削減できる
CDNの導入により、オリジンサーバーの運用コストを削減できます。データの配信に必要な帯域幅やサーバーの維持費用がCDNによって効率化され、結果として運用コストが大幅に削減されます。
これはとくに大規模なWebサービス運営において、長期にわたって財政的メリットにつながる可能性があります。
表示・配信速度を改善できる
Webサイトやアプリケーションの表示・配信速度が大幅に改善できます。CDNを利用すると、オリジンサーバーに高負荷がかかる状況でも、分散されたサーバーから迅速にコンテンツを配信するためです。これはユーザーエクスペリエンスの改善に直結しますので、重いコンテンツや大規模なユーザーベースを持つWebサイトにおいてとくに重要です。
CDNのデメリット
CDNを利用する際には、いくつか気を付けるべきことがあります。リスクを理解し、適切に対処することで、CDNの効果を最大限に活かすことができます。
古いコンテンツが表示されるリスクがある
CDNによるキャッシュは高速配信を実現しますが、この仕組みが原因で、最新のコンテンツがすぐには表示されないことがあります。とくにニュースサイトや頻繁に更新されるブログのようなWebサイトでは、この遅延が問題となる可能性があるため、注意が必要です。キャッシュの寿命や更新のタイミングを適切に管理することで、このリスクを軽減できます。
残ったキャッシュから個人情報が漏れる可能性がある
CDNのキャッシュには、ユーザーの個人情報が含まれることがあり、不正にアクセスされると情報漏洩につながる可能性があります。とくにセキュリティが重要な金融や医療関連のWebサイトでは、キャッシュのセキュリティ対策と定期的な監査が必要です。
また、キャッシュの削除プロセスを厳格に運用することが、このリスクの対策となります。
アクセスログの取得が困難なことがある
CDNを利用すると、オリジンサーバーでアクセスログの取得が難しくなることがあります。そのため、ユーザー行動の分析やトラフィックのモニタリングが困難になる場合があります。
CDNプロバイダが提供するログ分析ツールの活用や、カスタムログ処理の実装が、この問題を克服する方法となります。Webサイトの最適化には、正確なユーザー行動の分析が不可欠です。
ウェブアクセラレータについて

さくらインターネットの提供するCDNとして、ウェブアクセラレータをご紹介します。
ウェブアクセラレータは手軽に使える高コストパフォーマンスCDNサービスです。さくらインターネットの広帯域バックボーンを利用して大容量の回線を東京・大阪の2拠点へ設置しており、低速な共用回線でコンテンツを配信している場合などに大幅な高速化が見込めます。
転送量5円/GiBというわかりやすい料金体系で、マニュアルなどのサポートも充実しており、少額から利用できるサービスです。
ウェブアクセラレータの活用事例
最後に、ウェブアクセラレータを導入した事例をご紹介します。
株式会社ALiNKインターネット
株式会社ALiNKインターネットは、年間25億ページビューを誇る天気予報専門メディアのtenki.jpを日本気象協会と共同で運営しています。
気象の変化により増加する予期できないアクセスに対して、最新の気象情報を高速に配信するために、さくらインターネットの「ウェブアクセラレータ」、「さくらの専用サーバ」、「さくらのクラウド」を採用しました。
これにより、データ処理速度を大幅に向上できただけでなく、素早く安定したコンテンツ配信によるサイトの信頼性向上や、クラウドサービスに関する情報収集が迅速になったことによる運用改善に寄与しました。
トゥギャッター株式会社
トゥギャッター株式会社は、X(旧:Twitter)のポストのキュレーションサービス「Togetter」を運営しています。
同社は、ユーザーの投稿から引用する膨大なデータ量の画像コンテンツを高速かつ安定して配信することを目的に、さくらインターネットの「ウェブアクセラレータ」を採用しました。
同様の他社サービスを利用する場合に比べ、約5分の1という低コストが導入の決め手になりました。
まとめ
CDNやの基本的な用語、メリットやデメリットを解説しました。CDNはWebサイトのパフォーマンスを向上させる強力なツールです。
CDNを活用することで、より効果的なWebサイト運営が可能になります。利点をフルに活用し、Webサイトの運用を効率的で質の高いものにしましょう。
CDNについて詳しく知りたい方へ

CDNについて基本的な仕組みや導入のメリットなど、分かりやすくまとめました。
CDNの身近な例や仕組み、メリット、デメリットなどを説明しています。ご興味ありましたら下のボタンをクリックしてフォームに進んでください。
CDNチーム
ウェブアクセラレータは、突発的なアクセスへの備えから日々の負荷軽減まで幅広く気軽にご利用いただけるCDNサービスです。