サーバーダウンはなぜ起こる?アクセス集中との関係と対策
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Webサイトは企業にとって重要な情報発信の場となっています。ところが、キャンペーンの開始やイベントの告知などをきっかけにアクセスが集中すると、サーバーがその負荷に耐えられず、Webサイトが表示できなくなることがあります。
このようなアクセス集中によるサーバーダウンは、売上の機会損失やユーザー体験の低下につながる深刻な問題です。しかし、原因を正しく理解し適切な対策を講じることで、十分に防ぐことができます。
本記事では、サーバーダウンがなぜ起こるのか、アクセス集中との関係、そして有効な対策について、システム専任でないWeb担当者の方にもわかりやすく解説していきます。
目次
サーバーダウンとは?
サーバーダウンとは、なんらかの原因でサーバーの機能が停止し、利用者からの操作やアクセスに応じられなくなる状態を指します。
サーバーがダウンすると、Webサイトが閲覧できない、メールの送受信ができない、オンライン予約や購入ができないなど、ビジネスに大きな影響を及ぼす可能性があります。
原因は、アクセス集中、ハードウェアの故障、設定ミス、サイバー攻撃、停電など多岐にわたります。なかでもとくに頻繁に発生するのが、アクセス集中による負荷超過です。多くのユーザーが同時にWebサイトへアクセスすることで、サーバーの処理能力を超える負荷がかかり、結果的にサーバーが応答不能となります。
アクセス集中でサーバーダウンが起こりやすいタイミング
アクセス集中によるサーバーダウンは、以下のようなタイミングで発生しやすくなります。
キャンペーン・セール開始時
ECサイトの大型セールや限定商品の販売開始時には、多くのユーザーが同時にサイトにアクセスするため、サーバーに大きな負荷がかかります。「10時開始」など時間が明確に設定されるケースではとくにアクセスが集中しやすく、サーバーがダウンするリスクが高まります。
災害情報公開時
地震や台風などの災害発生時には、避難情報や被害状況といった安全に関わる重要な情報が、自治体の公式Webサイトに掲載されます。そのため、多くの住民が一斉にアクセスすることでWebサイトに負荷がかかり、サーバーダウンが発生するケースも見られます。
テレビ番組での紹介やSNSでの拡散時
テレビ番組での紹介やSNSでの拡散により、予期していないタイミングで大量のアクセスが発生することがあります。このような突発的なアクセス増に備えていない場合、サーバーダウンにつながる可能性があります。
アクセス集中についてくわしく知りたい方は、下記コラムをご確認ください。
サーバーダウンのおもな原因
前章で説明したアクセス集中をはじめ、サーバーダウンにはさまざまな原因があります。各原因について確認しましょう。
アクセス集中による負荷超過
サーバーには同時に処理できるリクエスト数に限界があります。この上限を超えると新しいリクエストに応答できなくなるため、Webサイトを利用できない状態が発生します。
また、アクセス集中により、CPUやメモリ、ストレージ、ネットワークなどのリソースに負荷がかかりすぎると、サーバー全体のが応答が停止してしまうこともあります。
サイバー攻撃
悪意のある第三者によるサイバー攻撃も、サーバーダウンの原因の1つです。とくにDDoS攻撃では、複数の端末から同時に大量の通信が送りこまれ、サーバーは応答できない状態に陥るケースがあります。また、ウイルス感染や不正アクセスによってシステムが不安定になることもあります。
自然災害・停電
地震や台風などの自然災害により、データセンターで停電や設備故障が発生し、サーバーダウンに至ることがあります。自然災害は予測が難しく、ひとたび起こるとインフラ全体に広範囲にわたって影響をおよぼす可能性があります。
ハードウェア障害
サーバーを構成するCPU、メモリ、ハードディスクなどのハードウェア故障により、サーバーダウンにつながることがあります。24時間365日稼働しているサーバーでは機器の劣化が早まりやすいため、定期的な点検・交換が重要です。
設定ミス・人為的ミス
サーバー設定の変更作業やソフトウェアのアップデート作業中に発生するミスも原因となります。具体的には、設定ファイルの誤った変更や、データベースの操作ミスなどが考えられます。
サーバーダウンで起こる問題
サーバーダウンが発生すると、システムの技術的な問題だけでなく、ビジネスにもさまざまな影響をおよぼします。ここでは、その具体的な影響についてくわしく見ていきます。
サイト・システムへの影響
Webサイトにアクセスできない
サーバーダウンが発生すると、Webサイトの内容は閲覧できなくなります。ユーザーがアクセスしても「このサイトにアクセスできません」「接続がタイムアウトしました」といったエラーメッセージが表示されます。
メールの送受信ができない
メールサーバーがダウンした場合、メールの送受信ができなくなります。問い合わせフォームからのメール送信や、自動返信メールなどが機能しなくなり、顧客対応などに支障をきたします。
業務システムが停止し通常業務ができない
業務システムも影響を受けることがあります。顧客情報の確認や商品の受注処理などの日常業務に支障が出る可能性があります。
ビジネスへの影響
売上機会の損失が発生する
ECサイトでサーバーがダウンすると、その間の売上機会が失われます。とくに限定商品の販売やタイムセール中に発生した場合、復旧する頃には販売時間が終了していたり、顧客がほかのサイトで購入を済ませてしまっていたりと、より大きな機会損失につながります。これは予約サイトでも同様で、予約を受け付けられない期間に失われた機会は、直接的な売上の損失となります。
顧客離れとブランド信頼性が悪化する
サーバーダウンにより「使いにくいサイト」「信頼できないサービス」という印象を顧客に与えてしまうと、長期的な顧客離れにつながります。SNSが普及した現在では、サーバーダウンの情報が瞬時に拡散され、ブランドイメージの悪化が加速するおそれがあります。
社会的信頼を損なう
災害時に自治体のWebサイトがアクセス不能になるのは、住民の安全にかかわる重大な問題です。また、教育機関の合格発表サイトがダウンすると、受験生に大きな不安を与え、信頼が損なわれるでしょう。このように、公共性の高いサービスでは、サーバーダウンの社会的影響がより大きくなります。
サーバーダウンを防ぐための対策
サーバーダウンはさまざまな原因で発生しますが、適切な対策を講じることでリスクを軽減できます。ここでは、効果的な3つの対策方法を紹介します。
サーバーリソースの増強
サーバーの基本性能を向上させることで、アクセス集中に強いサイト構築が可能です。たとえば、CPU(処理能力)やメモリ(記憶容量)を強化すると、より多くのアクセスに対応できるようになります。クラウドサービスを利用している場合は、必要に応じて比較的簡単にリソースを増強し、性能を向上させることが可能です。
また、サーバーを複数台設置して負荷を分散させる「冗長化」も効果的です。ロードバランサーという仕組みを導入することで、アクセスを複数のサーバーに自動的に振り分け、1台あたりの負荷を軽減できます。さらに、1台のサーバーが故障してもほかのサーバーが稼働していれば、中断なくサービスの提供を継続可能です。
セキュリティ対策の強化
サイバー攻撃によるサーバーダウンを防ぐには、セキュリティ対策の強化が欠かせません。ファイアウォールや侵入検知システム、DDoS防御サービスなどを導入することで、悪意のあるアクセスを自動的に検出・遮断し、DDoS攻撃などによるサーバーダウンを防止できます。
また、OS、アプリケーションなどをつねに最新の状態に保つことも重要です。定期的なアップデートにより、セキュリティの脆弱性を解消し、サイバー攻撃のリスクを最小限に抑えることができます。
CDNの導入
アクセス集中によるサーバーダウンを防ぐには、CDN(Content Delivery Network)の導入が効果的です。CDNは、複数拠点に分散配置されたサーバーネットワークを利用してコンテンツをキャッシュし、オリジンサーバー(配信元のサーバー)に代わってデータを配信する仕組みです。オリジンサーバーの代わりにCDNがコンテンツ配信することで、オリジンサーバーへの負荷を大幅に軽減できます。
画像やファイルなどのコンテンツがCDN経由で配信されるため、アクセス集中時でもサーバーは安定して動作します。さらに、CDNは広帯域のネットワーク回線や高負荷に耐えられる複数のサーバーで構成されています。そのため、大量のアクセスが同時に発生しても処理を分散し、高いパフォーマンスを維持できます。
CDNについての詳細は下記コラムをご確認ください。
まとめ
サーバーダウンは、アクセス集中、ハードウェア障害、設定ミス、サイバー攻撃などのさまざまな原因で発生します。これにより、Webサイトが利用できなくなったり、売上の機会を逃したりと、ビジネスにも影響をおよぼす可能性があります。
しかし、適切な対策を講じればサーバーダウンのリスクは大幅に軽減できます。サーバーリソースの増強やセキュリティ対策の強化といった基本的な対応に加え、CDNを導入してキャッシュ配信を活用することで、アクセス集中時でも安定したサービス提供が可能になります。
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